2013年 10月 25日

西成のタイル張りアパート・簡易宿泊所(ドヤ)
竣工年:昭和初期ごろ?
意匠的に興味深い近世-近代建築は大抵、大阪で言えば船場のような街の中心街の最も富裕な土地に集中している。従って余り富裕とは言い難い日雇い労働者の集積地、西成は建物の散歩場所としてはノーマークだったのだが、グーグルビューで原色のタイルに覆われたアールデコのアパートを偶然発見し、驚愕した。
明らかにシカゴやニューヨークの象徴摩天楼を意識しているのだが、何と言えばいいのか、もの凄い代物である。
戦火を免れた他所の大阪市内の下町ではまず見られない意匠と色彩だろう。飛田遊郭に近いからか、汚れを落としやすくするためなのか、豪華に見せるためなのか謎である。

この威容はシカゴ派の作品もかなわない。
早速現地へ行ったら残念ながらすでにタイルは剥がされ、陳腐なボードに張り替えられていた。つくづく惜しまれる。


暴力団事務所を巨大化したような独特の雰囲気で、地域の市民に愛される交番建築とは程遠い。

スクラッチタイルの雰囲気から恐らく昭和初期の竣工だろう。
環状線の駅から見えるので気になっていた方も多いと思う。




後方にはタイル張り土蔵のような付属棟があったのだが、近くで変わった雰囲気の紳士が大声で叫んでいたためそそくさと退散した。建物の鑑賞には不向きな土地柄である。

入口の意匠も昔の酒場とかダンスホールを思わせ味わい深い。

前出写真の商店とほぼ同様のアーチ窓と青いスペイン瓦(?)を持つことから設計施工者が同じであると思われる。
遠目で見る分には芦屋や夙川にあっても違和感が無い感じがするが・・・・







パソコンで調べると北朝鮮系の金融機関らしい。



戦後の建物は個人的に余り好きではないのだが、これはなかなか巨大で美しいと思う。


遊郭建築と明らかな相同性が感じられる。








タイル、タイル、タイル!

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by kfschinkel
| 2013-10-25 19:42
| その他大阪市