北浜の二軒長屋
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竣工年:明治30年代(1897-1907)
設計施工:不詳
土佐堀川沿いに面した二軒長屋。大阪では二軒長屋を「ニコイチ」と呼ぶ。
近世江戸では長屋といえば最下層民の住む貧相なあばら屋だったという。しかし大阪では市民の九割が借家住まいであり、かなりの資産家でも税金対策などからあえて貸家を選ぶ者が少なくなかった。従って一口に長屋といっても粗末な裏長屋から豪商町家に匹敵する豪華な建築まで幅広いバリエーションがみられる。
また大阪の長屋は基本的に高価な瓦葺、漆喰塗り仕上げとしていたため、江戸と比べて火事の発生件数が極端に少なかった。
これなどは規模が小さい長屋にもかかわらず、建築コストが高い土蔵造りで、大阪では非常に珍しい関東風の観音開き窓まで付いた耐火仕様になっている。一方玄関にはペディメント風の装飾があり、内部の事務所は西洋風の意匠が採用されている。
また普通の長屋であれば吹き抜けの通り庭にある台所や食堂が地下一階に設置されており、狭い空間を有効に使っている。
地域性や明治後期の時代背景が現れたユニークな長屋といえる。
<参考>

一般に関東の土蔵造り商家は、一階の軒が道路側に張り出した出桁造りで、巨大な鬼瓦や壁面に装飾用の金具が付く。北浜の二軒長屋ではそうした特徴は継承されておらず、大阪風に意匠が改変されていることが判る。

