2007年 08月 14日
銀橋 (桜宮橋)
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竣工年: 昭和5年(1930)
設計:武田五一
大川に架かる近代日本最大のアーチ橋。
京都建築界の大御所、武田五一による意匠は、鉄骨とビスの配列が力強くモダンアートのようだ。この橋のデザインがいかに大阪市民に強い印象を与えたかは、近世以来の正式な呼称である桜宮橋ではなく、今の橋の塗装の色にちなんだ銀橋の名前で一般に称されていることからも明らかである。
大阪都心のもう一つの巨大橋、淀屋橋の鉄筋コンクリート製躯体が花崗岩で隠され、ブロンズで巧みに装飾されているのに対し、この銀橋は鋼鉄のアーチ構造を強調することによりその架橋技術を誇示しているかのように見える。これは竣工当時、淀屋橋周辺が商業地であったのに対して、銀橋周辺はアジア最大の国営兵器工場、大阪砲兵工廠や三菱金属大阪製錬所、造幣廠等の大規模工場が集積する工場地帯だったことが一因なのかもしれない。
交通量の増大により2006年、銀橋の横に安藤忠雄設計の新桜宮橋が架橋された。同じ銀色のアーチ橋でありながら新桜宮橋が洗練された繊細さを見せているのは、工場地帯から再び商業地へと先祖がえりした銀橋周辺の環境変化と符合している。

鋼鉄の芸術。
電灯の形状はプロイセン陸軍のピッケルハウベに似ている。

新旧の橋。

全景。
by kfschinkel
| 2007-08-14 23:47
| 天満

