2007年 07月 16日
高麗橋野村ビル
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高麗橋野村ビル
竣工年: 昭和2年(1927)
設計:安井武雄
野村財閥が建てた最初の貸しビル。現在ビルの所有者で本社が入っている野村建設工業は野村家の資産管理会社である。
野村建設工業初代社長で本物件をはじめ、野村財閥傘下の野村證券旧本店(大阪 1926 取り壊し)、日本橋野村ビル(現 野村證券本店 東京 1930)、大阪ガスビル(大阪 1933)などを設計した建築家が安井武雄である。
本社屋、各階間の腰壁上端を外にせりだす奇妙な形状は、アインシュタイン塔(1921)で有名なドイツ表現主義の巨匠、エーリッヒ メンデルスゾーンがベルリンの新聞社屋(1923)やショッケンデパート・シュトゥットガルト店(Kaufhaus Schocken in Stuttgart、1927)でとった手法が取り入られている。ベルリンの最新様式がわずか数年で大阪に伝わり、建築になっているのだ。
さらにインパクトを強烈にしているのがイスラームとも日本ともつかぬ三日月や瓦を用いたオリエンタルな装飾である。ざらついた褐色の外壁は聚楽壁を思わせる。
ドイツ表現主義と東洋趣味が混在した近代建築には、今流行りのガラスを多用した高層ビルとは対極の濃い雰囲気が感じられる。

by kfschinkel
| 2007-07-16 02:41
| 船場(淀屋橋界隈)-近代建築

