2007年 06月 17日
三井銀行大阪支店 (現 三井住友銀行大阪中央支店)
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竣工年: 昭和11年(1936)
設計: 曽禰中條建築事務所
<前史-幕府大阪御金蔵銀御為替御用商・三井大坂両替店>
旧三井銀行大阪支店は、現所在地から程近い高麗橋3丁目にあった三井大坂両替店(1690年設立)の流れをくむ。江戸時代、幕府直轄地及び西国大名から徴収した年貢米は大阪で売りさばかれ現銀化、さらに金に両替後、江戸へ送金された。逆に江戸で利益を上げた上方商人はその金を大阪へ送金した。そこで幕府大阪御金蔵銀御為替御用商人の三井は大坂両替店を通じて大阪から江戸の幕府へ年貢米代金を為替送金したのである。紙切れ一枚で大阪-江戸間の送金を可能にした三井はこの公金為替を呉服業や金融業で運用し、巨万の富を築き上げた。
<建築>
現在の旧三井銀行大阪支店は、典型的な三井銀行スタイルともいうべき御影石の列柱が並ぶギリシャ神殿風の新古典主義建築となっている。一方、メイン・バンキング・ホール内装は総大理石張り、繊細な漆喰装飾が施されたガラス天井、吹き抜けの柱は完璧なコリント式大オーダーといった具合で、細部に至るまで手抜きゼロの素晴らしい空間が広がる。当時三井は日本最大の財閥であり、その圧倒的な財力を誇示したかのような豪華な内装だ。
近代日本屈指の建築事務所であった曽禰中條建築事務所の最後の作品でもある。トローブリッジ&リビングストン設計事務所(NY)の手になるアメリカン・ボザール(フランスのエコール・ド・ボザールで学んだアメリカ人建築家が造った新古典主義様式)の三井本館(1929 東京)や三井銀行船場支店(1931 大阪、取り壊し)を意識してか、控えめな英国調の新古典主義様式が採用されている。また三井本館同様商業のシンボルとしてヘルメスの杖のレリーフが用いられている。
財閥解体後三井銀行の地位は低迷し、後進のさくら銀行は2001年住友銀行に救済合併された。現在三井住友銀行大阪中央支店となっている








by kfschinkel
| 2007-06-17 11:11
| 船場(淀屋橋界隈)-近代建築

