北新町の赤煉瓦建築

北新町の赤煉瓦建築

竣工年：不詳
設計：不詳

　近世大阪でいう上町地区の中央区北新町2丁目にある謎の建築。
　断面からして木造町家や長屋の正面に洋風ファサードを貼り付けた、いわゆる「看板建築」ではない。窓の奥まった壁の厚みや石造の軒蛇腹の経年変化から戦後のレトロ風改装の類でもなさそうな、古いのか古くないのか謎の西洋様式建築。
　建築自体は明治期の煉瓦建築と比較すると簡明で、この意匠がもし古いとすれば赤煉瓦の人気が次第に衰えつつあった大正-昭和初期の作品に見えるが不明。
真新しいサッシとレトロ調ポストが見る者を惑わせる謎の正面ファサード。
しかしこの様に地べたに煉瓦を敷く事は近代建築では余りやらないのでこれは土佐堀の旧大阪府産業信用組合（1927年頃）同様、古い躯体に新しく煉瓦を貼り付けたのかもしれない。
もし古くない意匠とすればデザインした建築家はニセ西洋館のリノベーターとしてかなりの凄腕である（笑）
西側断面。
恐らく道路側が店舗、奥側は住宅であろう。二階に木造離れがある。この出っ張りは煉瓦造の様な組積造ではあり得ないし、一階の木製サッシから大正-昭和初期の近代建築の様にも見えなくもない。
同じ町内の畳商。
大阪市中でも最も歴史の古い大阪城付近だけあって何と元禄年間（1688-1704）の創業！