2015年 05月 11日
京都帝国大学化学研究所本館・木造実験工場(現 大阪医科大学中央資料館・管理棟)
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<本館>
竣工年:昭和4年(1929)(一期)
設計:不詳
<木造実験工場>
竣工年:昭和6年(1931)
設計施工:不詳
関西大学天六校舎亡き今、大阪府下に残る希少な旧制大学の遺構。現在は同時期隣に設置された大阪医科大学が使用している。
京都帝国大学の初めての付属研究所。1928年新京阪鉄道(現 阪急京都本線)高槻町駅開業の一年後に竣工された。大学本部から離れた郊外の研究所に交通網は必須といえる。この研究所もまた私鉄沿線開発と共に誕生したのである。
大阪は京大の起源である、政府の化学教育機関・舎密局が明治元年設立されたこともあり地縁が深い。
建築様式はモダニズム/表現主義。
横の旧木造実験工場では1939年ビニロンが世界で二番目の合成繊維として開発された。開発者の一人、李升基助教授は治安維持法で逮捕後、北朝鮮へ渡り核兵器開発を指揮、寧辺核施設初代所長に就任している。

阪急京都線からも見える目立つ建物。

同上。

残念ながら管理されておらずネットがかけられている。

しかし帝国大学の研究所だけあって質感・意匠性は高い。
現状打ちっぱなしのモダニズム建築。

無人の廊下。
かっこよすぎる。

教室内。現状書類が保管されている。

ドイツ表現主義っぽいアーチのある階段室。

同上

同上

同上

玄関ポーチ。

表札は中央研究館とある。京大時代のものかもしれない。
大阪医大に払い下げられた年代はネットでは不明。

カッコいい大階段。現代建築にはこういう建物を見せる工夫が足りない。

正面ファサード。

半地下階は電気が付いていた。事務所としても使用されているようだ。

同上。

ボイラー煙突?

マッドサイエンティストが出てきそうな存在感のあるファサード。
最高によい雰囲気である。映画やテレビのロケなんかにも最上だろう。
現状私学でもあるし、もっと積極的に活用してもらいたいものである。

同上。

同上。
手前の部分は微妙に意匠が異なり、恐らく戦前に増築された物であろう。

ポーチと反対側の階段。
<木造実験工場>

大阪医大のホームページによれば大正期の建造物とのことだが
恐らく要覧に記載のある昭和6年造木造実験工場ではないかと思われる、木造建造物。

同上。

いかにも昭和初期っぽいモダニズム建築の影響を受けた出窓。
同時期の大阪・曽根崎変電所(1936)に類似の意匠がある。

ビニロン開発記念碑。ナイロンに続く世界で二番目の合成繊維である。
結構凄い発明ではないかと思うが・・・・

戦前から変らないと思われる前庭。
後に犯罪国家で核兵器開発を指揮することになる、李升基博士もこの眺めを見ていたのであろうか?

京都帝国大学化学研究所旧正門。

旧正門向かいには同時期、昭和初期築と思わしき近代住宅街があった。
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by kfschinkel
| 2015-05-11 19:20
| 阪神間・北摂