大丸東清水町別館 (現 J.M. WESTON 心斎橋店)
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竣工年:昭和5年(1930)
設計:不詳
大丸心斎橋店(本店)にほど近い場所にある近代建築。竣工時には大丸心斎橋店の商品管理部、仕入れ部、染織試験室などが入居するオフィスビルだった。昭和8年(1933)以降永らく大丸系商社、大丸興業の本社事務所として使用されていた。
現在はフランスの靴メイカーJ.M. WESTONの路面店となっている。J.M. WESTONといえばヨーロッパの王侯貴族とかMr.ビーンが履いているような古典的で重厚なウエルテッド製法の靴で有名な老舗だが、この上品な建築にぴったりマッチしている。
建物は狭い間口に奥行きの深い鰻の寝床式の敷地に建っている。空襲前までこの辺りは木造町家の並ぶ旧市街だった。
建築意匠はルネサンス様式にアールデコの装飾が付く、典型的なヴォーリズ建築のスタイルと言える。資料に設計者名が記載されていなかったので断定できないが、W. M. ヴォーリズの同時期の代表作、大丸心斎橋店の付属施設であることから見ても、99%ヴォーリズの作品に間違いないだろう。