Koshida Art Co.Ltd.
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Koshida Art Co.Ltd.
竣工年:大正-昭和初期
設計:不詳
堺筋、日本橋電気街を入った道裏で発見した多分コンクリート造の近代建築。
意外に知られていないが近代建築でもRC造というのはある場所には集中してあるが、無い場所にはまず無い。近代日本最大の経済都市、大阪市ですら船場・中之島が筆頭で島之内、天満、上町、西船場が次点、後はターミナル駅周辺に少々であり、その他の下町などには残酷なほど無い(金融機関、公共建築、工場を除く)。一方、大工が見よう見真似で作った洋風ファサードを前面に貼り付けた木造建築(所謂「看板建築」)は全国に沢山あって、それらはしばしば大学や高専で歴史的様式を体系的に学んだ建築家が設計した本筋の近代建築と混同される。特に大阪とか京都の都心にあるその種の建物は、お手本が身近にあるだけに良い出来の物がある。六大都市以外であれば旧城跡周辺の公共建築のみで、金融機関を除く商業系の現存近代RC造建築はゼロというところが多い。今日日RC造など珍しくもないが、当時はコストが木造建築と比べて極端に高く金持ちや財閥の趣味的要素が強かったのだろう。
難波周辺を除く日本橋は当時の下町なのでこれはかなりの希少な物件。最初は巨大な木造看板建築かと思ったが、どうも違う。窓の引っ込みの厚みが少ないのが気になるが、曲線を描くパラペットとか装飾からして多分戦前の建築だろう。今も昔も金融機関は大概大通り沿い(日本橋では堺筋)に支店を建造するので、昔、地元の御大尽が建てたのだろうか?
※国土地理院サイト内、1948年上空写真にこの建物が焼け残ってしっかり写っているので戦前竣工で間違いないと思われる。