大江ビルヂング
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竣工年:大正10年(1921)
設計:葛野壮一郎
大阪控訴院(現大阪高等裁判所)至近にある、その名の通り大江氏なる弁護士が建設した大正期としては巨大な法律家向けテナントビル。
現在は弁護士事務所以外にも色々なテナントが入っている。
このビルは和風の意匠が混在しているとされることがある。しかし西洋の新古典主義様式やルネッサンス様式、あるいはウィーン分離派的な特徴こそあれ、和風の意匠は見あたらない。これは、台湾銀行上海支店(1926)等で見られるのと同様の中央部分のペディメントが簡略化されているために生じた誤解であろう。
他の日本の分離派建築同様、本場のそれと比べて大味で、出来はいい意匠とは言い難いが・・・
いかに金の掛かった上質なビルであるかは、細部を見れば容易に理解できる。
同時期の大阪ビルヂング本館(1925)とは異なり、まだエレベーターではなく階段が階毎の主要な移動手段であった旧世代のオフィスビルであることを示している。
(単にダイビル本館が大正期にしては異常に先進的過ぎるというだけかもしれないが)
<西天満の渋い法律事務所達>
これは大川沿い三階建てタイル張りの町家。
右側の洋風リノベーションがいい感じ。